
結婚式や披露宴に家族・親族として参列する時や、ゲストとしてお呼ばれした時は、どのような着物を選べば良いのでしょうか。立場や年齢にふさわしい着物のえらび方、装いのポイントをご紹介します。
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フォーマルな着物って何?

着物と帯には、それぞれ「染め」と「織り」の2種類があります。
「染め」は、白い糸で織りあげた布に、手描きや型を用いて染めたもので「後染め」とも言います。「織り」は、あらかじめ染めた糸を使って織り上げたもので「先染め」とも言います。
着物の種類
和装では、友禅染に代表される、「染め」の着物がフォーマルな装いの主流になります。やわらかな手触りが特徴で、結婚式や披露宴では、鶴や鳳凰、亀、松竹梅、おしどり、御所車、熨斗などのおめでたい吉祥文様や、季節折々の草花文様の着物がおすすめです。
帯の種類
帯は着物とは逆に、「織りの錦」がフォーマルとされています。結婚式や披露宴で着る着物には、西陣織の袋帯で、金糸・銀糸を用いたものを合わせます。柄はおめでたい吉祥文様や格調高い有職文様、正倉院文様が最適です。
着物の格
着物は、大きく分けて上から第一礼装・準礼装・外出着・普段着があります。そのうちフォーマルな装いは、第一礼装と準礼装です。
第一礼装…打掛・黒留袖・振袖・喪服・色留袖(五ツ紋)
準礼装…色留袖(紋あり)・訪問着・付下げ・振袖・色無地(紋あり)・江戸小紋(紋あり)
外出着…小紋・紬・色無地(紋なし)・江戸小紋(紋なし)・お召・絞り着尺
普段着…ウール・銘仙・木綿・浴衣・化繊
ゲストをお迎えする方の着物えらび〈家族編〉

新郎新婦の家族・親族は、ゲストをお迎えするホストの立場としてフォーマルな装いが求められます。また新郎新婦との関係性や立場によって着物の格が変化することに注意して着物を選びましょう。
新郎新婦の母親・祖母・仲人夫人
新郎新婦のお母様は、既婚女性の第一礼装である黒留袖を着用します。
黒留袖は、五つ紋が付いた地色が黒の留袖です。裾部分にのみ模様が入り、袖は比翼仕立てになっています。
新郎新婦の母親の他にも、祖母、仲人夫人は黒留袖を着ることができます。
新郎新婦の姉妹
新郎新婦の姉妹は既婚であれば色留袖・訪問着・付下、未婚であれば振袖を着用します。
色留袖は、黒留袖とともに慶事で着用する礼装です。紋の数によって格式が決まり、五つ紋の色留袖は、黒留袖と同格の第一礼装として、親族の結婚式に相応しい装いとなります。新郎新婦の姉妹の場合、既婚者であっても年齢が若い方には色留袖より訪問着や付下が相応しい場合もありますので、ご相談ください。
新郎新婦の親戚
親戚として結婚式に招かれた場合でも、立場はゲストを迎えるホスト側です。
既婚女性の第一礼装である五つ紋の黒留袖か色留袖、訪問着・付下・色無地のいずれかを着用します。未婚の方は振袖、遠い親戚であれば一ツ紋の色無地が最適です。
お呼ばれ着物の装いとマナー〈友人編〉

ゲストの立場で結婚式や披露宴に招かれた方が、着物をえらぶ時に最も気をつけたいことは、新郎新婦のご家族・ご親戚より格が上がらないようにすることです。ご友人や同僚は、未婚であれば振袖、既婚であれば訪問着か付下など、一歩控えた格の着物にすると良いでしょう。
着物は黄色やピンクなどの優しい地色に、おめでたい吉祥文様や季節を少し先取りした草花文様の柄がおすすめです。また、花嫁衣裳に近い白すぎる地色や、黒留袖のような黒すぎる地色の着物は避けるようにしましょう。
会場を華やかにする着物は、式全体の格を上げ、ご両家からも大変喜ばれますので、ぜひ着物での出席をおすすめします。
美しい着物と長くお付き合いいただくために

着用後の着物をそのままにすると、カビの繁殖や虫食い、変色等が起こる可能性があります。
着用後は着物専用のハンガーに着物をかけて形を整え、直射日光が当たらない場所で半日ほど陰干しをしましょう。その後、ホコリ払いや汗抜きのお手入れが難しい方、しばらく着る予定がない方は、迷わずプロによるお手入れをおすすめします。
戻ってきた着物は、湿気の多い所や風通しの悪い所、直射日光の当たる場所は避け、平らにしてたとう紙などに入れて保管しましょう。
遠鉄百貨店本館4階の呉服売場では、常時お手入れやお直しのご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

遠鉄百貨店 呉服売場
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